AI技術と需要予測

AI技術の動向

現在のAI技術はディープラーニングという手法によるもでので、実用化されている製品やサービスも多く提供されています。画像認識や音声認識などが代表例です。

ディープラーニング手法においては、学習させる大量のデータが必要となります。Googleは「猫」を認識させるAIを実現させるために、1000台のコンピュータを使用し、1000万枚という超大量の「猫」の画像を学習させたといいます。

自動車の自動運転技術においても、自動車運転において起こりうる全ての状況を認識させるために、公道でにいおて莫大な時間をかけて実際の画像を学習させています。2020年4月には、道路交通法と道路運送車両法が改正され、依然として「基本的な安全運転の義務はドライバーにある」と定められているものの、自動運転が実用化されています。自動運転で使用されているAI技術は画像認識であることは、言うまでもありません。

現時点での需要予測業務におけるAI技術の活用

残念ながら、現時点においては、需要予測という業務分野で、中小企業でも、安価で、容易に使用できるような、AI技術(ディープラーニング)を搭載した需要予測システムは登場してはおりません。
AI技術(ディープラーニング)が得意とするのは、画像や、音声、言語などのデータの学習です。

過去の売上の時系列データ実績(および売上に影響のあった要因データ)による需要予測については、商流や顧客の特性など、売上げに影響があると思われる大量の情報を収集し、分析し、因果関係のある情報を選別し、学習(ディープラーニング)させてテストを繰り返すことになります。

したがって、B to B 「Business to Business」(企業間で行なわれるビジネス)では、複数の製品と複数の企業との間に発生する取引環境特性を特定することが難しく、汎用性のある需要予測システムの登場はまだまだ先になると思われます。

ただし、B to C 「Business to Customer」(企業と消費者との間で行なわれるビジネス)の食品業界では、食品ロスの軽減などの課題の解決方針としてAI技術の活用の取り組みが進んでおります。

予測AIは、時系列解析と回帰分析の精度を超えられるか

食品業界では、AI技術を活用した、需要予測の取り組みが話題となっております。消費者向け商材の販売数を予測する取り組みです。
日別の過去の販売実績情報から直近の来客数を予測し、在庫不足による機会損失や余剰在庫による陳列スペースの占有などの解決を目指すものです。

そのために必要な情報は、日別の販売実績情報(時系列情報)と、販売に影響のある、天気、過去の来客数、販促キャンペーンの実施有無、チラシや広告の配布数などの販売に因果関係のある情報です。

所詮、時系列情報の時系列解析と、複数の因果関係のある情報を使用したの回帰分析です。

現在実現している時系列データ実績(および売上に影響のあった要因データ)による需要予測については、指数平滑法や因果関係モデルによる回帰分析など、長年の研究や機能の改良により進化を重ねて高度になっています。

現在、活用されている時系列データ分析と回帰分析による需要予測システムを使用した需要予測に、AI技術による需要予測の精度が勝ることは、まだ先でると思われます。

今後、各企業では、IOTやAIなどのビッグデータから、需要に影響のある(因果関係のある)データを分析し、因果関係モデルを使用した需要予測を行なうことにより、最適な量の生産計画を実行し、あるいは適正な量の仕入を行ない、適正在庫の実現を図る経営改革は可能です。

今できることから始めて、近い将来、登場するであろう、AI技術を搭載した汎用需要予測システム活用に備えるべきです。

弊社では、需要予測システムの無償試行(最長3ヶ月間)のサービスを行なっております。

需要予測精度や操作の容易性、生産性、導入の容易性、コスト面などの有効性の評価など、AIを活用した新しい需要予測製品との比較検討を行なっていただくことが可能です。